歯ぎしり
気づきにくい歯ぎしり
歯ぎしりとは、無意識のうちに上下の歯を強く擦りあわせる状態を言います。歯ぎしりにお悩みの患者さんは年齢問わず多くみられます。主な原因のひとつにはストレスが指摘されています。歯をギリギリと擦りあわせることによってストレスの解消を図っていると考えられていますが、強過ぎる歯ぎしりは歯を摩耗させ、顎の痛みや顎関節症を招く危険性が高くなるため注意が必要です。
無意識がゆえになかなか
歯ぎしりやくいしばりが起きやすいのは就寝中です。無意識であるがゆえにご自身だけでは気づきにくいという特徴があります。当院においても、歯や顎に痛みが生じ始めたことでようやく異変に気づき、ご相談にお越しになられるケースがほとんどです。昨今ではさらにコロナ禍も重なり、リモートワークによるひどい肩凝りや環境の変化、思うように外出できないもどかしさなどから日常的にストレスを抱える方が増えています。それに伴い当院でも歯ぎしりにお悩みになられる患者さんの数が急増しています。
歯ぎしりが起きやすいタイミング
- 就寝中
- 何かに没頭したり集中して作業をしているとき
- 重い荷物を運ぶなど力仕事をしているとき など
こんな症状に心当たりはありませんか?
- 朝起きると顎が痛い
- 普段から歯を強くくいしばってしまう癖がある
- ひどい肩こり
- 頭痛やめまい など
歯ぎしりが引き起こすさまざまな問題
歯ぎしりはひどくなるほどに体のさまざまな部位へ不具合を引き起こします。普段からつい強く歯をくいしばってしまう癖がある方も同様にご注意ください。
歯の摩耗
一般的に人の噛む力は自分の体重程度と言われています。しかし、歯ぎしりは無意識ながらも300kg以上もの力がかかることがわかっています。この加重が毎晩繰り返されると次第に歯が擦り減り、内部にある神経にまでダメージを与えるようになります。歯や顎に過度な負担がかかることで強い痛みを生じ、最悪の場合には歯が削れてなくなったり、折れたり割れたりしてしまうことがあります。
知覚過敏
歯が擦り減ると内部にある神経に刺激が伝わりやすくなります。そのため熱いものや冷たいものを食べる際にキーンと響くような鋭い痛みや、ブラッシングの際にも痛みを感じやすくなります。次第に歯磨きが苦手となり、虫歯や歯周病が発生しやすい磨き残しの多い口腔内となってゆきます。
顎関節症
歯ぎしりは強い力で下顎が前後左右に動きます。顎に過度な負担がかかると顎関節症が引き起こされ、悪化すると会話や食事にも支障をきたすようになります。
ひどい肩こりや頭痛
歯ぎしりや強いくいしばりは口や顎周りの筋肉の過度な緊張を引き起こし、首や肩、背中の筋肉といった連なる部位へも影響を与えます。次第に強い張りから痛みへと変わり、慢性的な肩こりや頭痛に悩まされるようになってゆきます。
顎の動きが悪くなっている可能性が高いです
顎の筋肉が異常な緊張をしてこわばったり、全身の力をうまく抜くことができないことで強いくいしばりが生まれます。強いくいしばりも歯ぎしりと同様、歯を摩耗させたり顎関節症を引き起こす原因となります。顎になんらかの障害が出てきている可能性が考えられるため、異常の早期発見が何よりも重要となります。
診断について
歯ぎしりの診断にあたっては、口腔内だけでなく顎の状態確認もとても重要となります。
レントゲン
レントゲンにて顎骨の状態を詳しく分析させていただきます。
触診
実際の顎の動きに異常がみられないか詳しく確認させていただきます。
口腔内の確認
日常的に歯ぎしりをされている方の歯は特徴的な形をしています。問診を含めて、普段の歯ぎしりの様子などを確認させていただきます。
歯ぎしりの治療
歯ぎしりやくいしばりの治療にあたっては、できるだけご本人が意識してこれ以上の摩耗を防ぐことが基本となります。ただし、就寝時の歯ぎしりについては専用のマウスピースを作成することで緩和することが期待できます。
マウスピース(保険内診療)
就寝中の強いくいしばりや歯ぎしりにはマウスピースがおすすめです。マウスピースが歯や顎にかかる負担を軽減します。マウスピースは患者さん一人一人の歯の形状にあわせてお作りいたしております。材質もやわらかいものと硬いものの2種のご用意がありますので、噛み心地にあわせてお選びいただくことが可能です。
ボトックス治療(自由診療)
寝ている間に口の中に物を入れること自体が苦手な方も多いです。そんな方にはボトックス注射がおすすめです。顎の筋肉部に注入することで筋肉の収縮する力を緩めます。1回の注射で比較的効果を実感いただける方が多いですが、効果の感じ方には個人差があるため数回のご使用が必要となるケースもあります。
1回 ¥20,000 (税別)
ボトックスに関する動画を掲載しております。
ぜひご覧ください。
効果的な顎のマッサージ方法もご指導させていただいております
歯ぎしりによる顎の痛みにお悩みの場合には、顎の筋肉をほぐす効果的なマッサージ方法などもご指導させていただいております。患者さんには「普段の生活の中に取り入れやすい」とご好評いただいておりますので、予防的な意味も含めてぜひご自宅でも実践されてみてください。
深刻な状態になる前にぜひ早期にご相談ください
同居されているご家族などから指摘を受けてご相談にお越しになられる患者さんも大変多いです。多くの場合、すでにご自身で癖のようになられているケースが多いため、歯ぎしりや強いくししばりが自然に治るということはありません。時間の経過とともに歯はどんどんと擦り減り、噛みあわせの障害や顎関節症などさらに深刻な事態へと陥ります。当然のことながら睡眠の質も悪くなり、全身に関わる問題へと発展していく危険性が高まります。マウスピースやボトックス治療で歯や顎にかかる負担は大きく減らせます。気になる症状がみられる場合には、まずは早期に一度当院までご相談ください。